青い月の夜、浜辺を歩く。
白いワンピースにひきたつ濡れたような黒髪、頼りなく見え隠れするたおやかな背中。
彼女といても沈黙が苦にならないのが心地いい。
風に弄ばれる髪の尾に知らず手が伸びて一房を掴む。
動揺。困惑。それに慎み深く朱を添える含羞の表情が、灰のように冷えた胸に辛うじて人間らしい体温を保たせる欲望の埋み火と、僅かばかりの嗜虐心を搔き立てる。
『笑っていないと冷たく見えるぞ』
『でも、笑うと悪魔のようだ』
同じ男に言われた台詞。
笑わなければ冷たい男、微笑めば悪魔のよう。
だからあいつの隣ではいつもどんな顔をすればいいかわからなかった。
……今もそれは同じだ。
PL
「ゆら、ゆらり、と海の月」http://rakkami.com/scenario/reaction/602?p=20の再現フリイラ。
こまちさんが乙女!遙の悪そうな笑みがたまりません……!
揺蕩う海の泡や水を淡く透かす光、天鵞絨のような空の紫紺も相まってとても幻想的で綺麗です。
海李絵師さま、素敵なフリイラありがとうございます!