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何人かの白き少女が、高慢な敵を見返そうと詠唱を始める。
だが黒き少女は片手を上げると
「なんてね、こっちはもう済んでるのよ」
最後の力有る言葉を唱えると、空に魔法陣が現れた。
絶望の鍵となった無数の黒き刃が形を成し天を埋め尽くす。
禍々しき鋸刃は血を求め、赤く輝いていた。
黒き少女が何か言っていた、もう聞きとれない。
聞こえるのは、仲間の断末魔と、降りやまぬ黒き雨の音だけ。
少女が流した涙を、仲間の血飛沫が上塗りする。
程なく彼女も、黒き刃に貫かれた。
-1-
終わりなき戦いを続ける、白き魔法少女達と異形の者達。
フツウから切り取られた世界では、当たり前に死が訪れ、それでも振り返る事は許されない。
ただ、前だけを見て、きっと訪れる筈の平和を夢見て、白き少女達は戦い続けて来た。
「ココを落とせば、もう少しで…」
誰かが呟く。
見えて来た光、希望を抱いた少女は魔法の詠唱を始める。
「---ッ」
詠唱が、途切れる。
自身の胸を貫いた禍々しき刃に視線を落とし、少女は知る。
アイツが、来たのだと。
背後の空間に、亀裂が入る。
白き少女達に戦慄が走る。
亀裂を押し広げて姿を現したのは、白磁の様に艶やかな肌と、絹糸の様に光を帯びて翻る白髪を、己がサガである漆黒のドレスで覆った少女だった。
「勝った…。そう思った?」
黒き少女が刃を抜き取る。
血を噴き出し呻く少女を蹴り飛ばし、刃の血を振り払う。
「あなた達、10秒あげる。祈りなさい、信じる神に。謝りなさい、産んでくれた母親に。娘は使命を果たせず、虫けらの様に潰されましたってね」
黒き少女の歪んだ口角から笑いが漏れる。
「辞世の句は詠んだ? この世に思い残すことはない? 防御魔法の詠唱準備はOK?」
「私の愛、あなたたちに見せてあげる!」
「ハリネズミになっちゃえ!! 『Endless rain of JUDGEMENT(降り止まぬ裁きの雨)』!」
(『ねこじま魔法少女大戦222~サヨナラ羞恥心~』 http://rakkami.com/scenario/reaction/306?p=13 より)
(PLより:かわいいいいかっこいいいいいいなにこれええええええ!予想通り、いや予想以上の出来に大大大満足!です!フリルいっぱいの魔法少女衣装も悪そうな顔もとっても好みです!シナリオをばっちり再現したイラストを描いてくださった三十三絵師様に大感謝です!ありがとうございました!!)