朝露を宿した蜘蛛の巣で一羽の蝶が微睡んでいる。
規則正しい寝息に上下するふくよかな胸、この世には綺麗なものしかないと信じきった安らかな寝顔。
呼吸に合わせて微かに震える繊細な翅に手を伸ばしかけ躊躇う。
胸に巣食う面影が彼女を救うのを邪魔する。
女を束縛する蜘蛛の巣は独占欲の具現、早く糸を断ち切り解放せねばと理性が警告しても本能がそれを阻む。
このまま頭から食べ尽くして俺の物にしちまいたい、直接俺の中に入れて消化して昇華したい、助けたい喰いたい千切りたい契りたい、その全部が溶け混ざる欲望に限りなく近い渇望が狂おしく身を焼き焦がす。
焦がれて乞うて、それでも得られず。
俺は地べたを這うのがお似合いの蜘蛛、湿った暗闇で死ぬ虫けら。
生き方も価値観も何もかも違いすぎる、翅を毟って堕としちまえば俺と一緒に生きてくれるのか、埃を食って泥を啜って地べたを這いずり回ってくれるのか。
嫌悪され忌避され疎外され孤立して、
そんな生き方はこいつには似合わない。ずっとそのまま、日だまりが似合う女でいてほしい。
いてほしいのに……
伸ばした手をとってほしいと願ってしまった。
ありえない願いに縋ってしまった。
好きだから。
好きだからこそ、
>アリーセ
そんな感じだな。俺が欲しい物は触った途端に壊れる。
手が届かないからこそ、
PL
某曲のイメージで描いて頂きました……とても美しく幻想的な仕上がりで感動しました。蜘蛛の巣にかかったまま安らかに眠る洋美さんと、地べたからそれを仰ぐ劉の対比が凄くロマンチックで胸に迫ります。
蜘蛛の巣に結んだ雫や色とりどりの蝶のきらめきもただひたすら美しく大満足です。
汝鳥さま、素晴らしいフリイラありがとうございます!
捕らえた蝶の美しさに、苦悩する蜘蛛。
そんな感じかしら?
少し切ないけど、綺麗な場面ね。