剥き出しの配管に積もった埃
水が浸み出す壁に生えたカビ
病院で意識不明の間抜けが出し損ねた生ゴミ
煙草の火種がパチパチと音を立てるほど、深く吸い込む。
ゆっくりと煙を吐き出せば、メンソールの香りが、嫌な臭いを全部追い出してくれる。
多少頭がふらつくのは、煙のせいと言うよりは朝が早いせいだろう。
「せっかくだし、ゴミくれー始末しとくか?」
悪臭源の一つに視線を向けたが、すぐに考えを変える。
「やっぱ、面倒くせー」
恐らく、ここを通る住人達も似たような反応を示すのだろう。
生ゴミはもう、三週間も放置されている。
「病院から生還しても、出迎えが無きゃ寂しいだろーしな。クズの出迎えには、ゴミがお似合いだ」
独りむせて、咳き込んだ後、再び紫煙を深く吸い込み、溜息と共に吐き出した。
「まっ、俺も似たようなもんだけどな」
独りごちた彼の元に、数ヵ月後、天使が押し掛けて来る事を今は知る由も無い。
寝子島に存在する闇を孕んだ廃墟
そこをシーサイド九龍と人は呼ぶ―
~PL~
か、かっこいい……!九龍城っぽい!幾何学的な配管の構造とカラフルなケーブルがかえって浮き立たせる荒廃した闇の得体の知れなさ、そこに不思議としっくり溶け込んだ劉……全体的な雰囲気がすっごくツボです!!こんな場所行きたい!!
お願いしてよかったです。素晴らしいフリイラありがとうございます……!