夜明け前、薄暗い部屋。
ハードカバーの書籍が散らばる無機質なパイプベッドの上。
無造作に身を横たえ、寝乱れて額に貼り付く前髪を透かし、虚ろな目で天井を仰ぐ。
手元には睡魔に襲われ読みかけで放置した文庫本。
頁に挟まれているのは一様の写真。理想的な家族の肖像。
その中で唯一の汚点、異物を排除するように油性マジックで執拗に塗り潰された顔。
脳裡に過ぎる英文。
I don't think I fit in here.
青に沈む部屋。
まるで深海の底。
無音の水の檻に閉じ込められて指一本動かすのすら怠い。
もがきもせず堕ちて溺れて、体の内側から暗く冷たく閉ざされ、緩慢に窒息していく。
青に沈む。
水圧に似た沈黙が無防備な鼓膜を浸蝕する。
陰鬱で憂鬱な淡い目覚め。
微睡みを濾してその上澄みを照らすように、青のグラデーションがゆっくりと推移していく。
カーテンの狭間から射し込む一条の光は朝焼けの兆しを孕み白み始めている。
☆PL
真夜中二時過ぎさま、ステキなフリーイラストありがとうございました。
深夜と夜明けの過渡期の青のグラデーションに魅入られました!