ぴぽちゃん と呼ばれていた女の子は
明るくて いつも元気で みんなにとっても好かれていました
けれど うっかりなのがたまにきず
学校では 忘れ物がおおくて 先生の悩みのたねです
先生はれんらく帳に きちんと「持ち物」を書くようにいいますが
ぴぽちゃんはめんどくさがって れんらく帳を使いません
そして今日も忘れ物をしました
先生は ほとほと困り果て
「次忘れ物をしたら 先生はもう ぴぽちゃんの先生をやめます」
と、きつくおきゅうをすえたのです
ぴぽちゃんこれにはびっくり
明日こそ忘れ物をしないように
れんらく帳にも しっかり持ち物を書きこみました
ところが うっかりぴぽちゃん
れんらく帳を学校に 忘れてしまいました
夜 学校にれんらく帳をとりにいったぴぽちゃん
とちゅうで事故に あいました
車にひかれた ぴぽちゃん
そのまま二度と目を 開けませんでした
次の朝の教室は ぴぽちゃんがいません
とてもしずかな 一日でした
夕方 みんなが帰ったあと
先生はぴぽちゃんの机をのぞきます
一冊 残っていたれんらく帳
先生がそっと表紙を撫で
ページをめくると、そこに書かれていたのは…………
『もちもの
たいそうぎ
はし
ハンカチ
ハブラシ
リコーダー
わすれもの ぴぽちゃん』
「ぎゃーっ!!!!!!」
寝子島高校の、ある教室の隅。
輪になって話を聞いていた女子のうち、ひとりがものすごい声をあげた。
「ちょっと、話はまだ続くのよ」
絶妙な声のトーンと間でみんなの怖さをあおっていた話の主が、興を削がれた顔をしながら続けた。
「……ぴぽちゃんの遺体にはね、なぜか左手のゆびが全部なかったの。
あんまり奇妙で不可解だから、最初は殺されたんじゃないかってうわさもあったけれど、
死因は確かに車との衝突だったのよ。
だからきっと、誰かが切り取って持っていったんじゃないかって」
「誰が? 何のために?」
「分からないから気持ち悪いんじゃない」
「あんた、どこでこんな話聞いたの?」
「出所は私だって知らない。ネットで流れてきたのよ」
こわあい、と女子たちがさざめく。
そのささやきはなかなかおさまらず、痺れを切らしたように話を仕切っていた女生徒が咳払いをした。
「それでね」
「やだ、まだなんかあんの?」
「もうやだよう、聞きたくない!」
「こっからが醍醐味なの!」
怖い話を仕入れたなら、とことん怖がらせたいのが人間の性分だ。女生徒は構わず話を続ける。
「この話を聞くとね、一週間以内に夢をみる人間が現れるの」
「ぎゃーっ!」
「その夢の中ではぴぽちゃんがでてきて……」
「ぎゃー! ぎゃーー!!!」
「ゆびを見つけてって……」
「あーっ! 聞こえなーい! あーっ!」
「あーもう、うるさいっ! 最後まで喋らせてよ!」
結局、周りに阻まれ女生徒は最後まで話ができなかったよう。
しかしこのネットの話、最近有名なようで、色々なところで噂が広まっているらしい。
もしかしたら本当に、「ぴぽちゃん」と夢の中で出会う人も……。
こんにちは。貝と申します。
今回はすこしややこしいシナリオとなっております。
長ったらしい説明が以下に続きますが、最後まで目を通して頂ければ嬉しいです。
○シナリオについて
みなさんはどこかでぴぽちゃんの噂を耳にし、そして夢をみます。
その夢の中で、ぴぽちゃんのなくなったゆびを探すことになります。
くわえて、ぴぽちゃんのゆびをとっていった「犯人」についてのヒントもさがして頂きます。
どれだけゆびを探し出せたか、また犯人に近づけたかで、シナリオのエンドが変わります。
<目安>
真相解明エンド……ぴぽちゃんのゆびコンプリート&犯人についてのヒントもコンプリート
グッドエンド……ぴぽちゃんのゆびコンプリート
バッドエンド……ぴぽちゃんのゆびが全てみつからず全員のターンが終了
ぴぽちゃんのゆびを全て探し出せればシナリオ攻略とはなりますが、
ぜひとも真相解明を目指して探索して頂けたらと思っております。
○探索について
探索するのはぴぽちゃんと出会う夢の中の建物です。
学校とぴぽちゃんの記憶がちくはぐに絡まり合う場所となっています(詳しくは後述で)。
探索行動は一人で行います。
探索回数は1キャラクターにつき3回です。
探索する部屋を決定する際は探索回数に影響はありません。
また、別の部屋に移動する際は、その行動も探索回数に含みます。
探索の進め方は、
1 Aさん 1,2,3<探索終了>
2 Bさん 1,2,3<探索終了>
3 Cさん 1,2,3<探索終了>
4 ……
というような流れです。
そして何より大事な「探索の順番」ですが、
公平を期すためにあみだくじで決めます。
どんな順番になるかは乞うご期待……。
○ヒント制度について
探索は基本的にひとりですが、全く助けあえない、という訳ではありません。
次に探索するキャラクターの為にヒントを残すことができます。
また、別のエリアにある「アイテム」を見つけないと詳細が分かりにくいエリアもあります。
ヒントに関する行動は探索回数にカウントされませんので、
頭を使って沢山のヒントを残し、探索を有利にすすめていってください。
学校や家の中にあるだろうと思われるものであれば、何でも調達できますので、
「何を使って、どんなことを残したいのか」明記をお願いします。
また、誰かが探索に関する明確なヒントを残した場合、それを見つけたキャラクターはファインプレー扱いとなり、行動回数を減らさずヒントに書かれていた行動を行うことができます。
なお、一度行動に移されたヒントは、後続のキャラクターに反映されることはありません。
ファインプレーを起こせるのは1キャラクターにつき1回です。
<アイテムの補足>
探索をしていると、メモや落し物など、様々なアイテムを拾うことがあります。
このアイテムはそのまま持っていると、夢から覚めると同時に拾ったエリアに戻ります。
後続のキャラクターにアイテムを渡したい場合は、ヒントと同じように処理をしてください。
ぴぽちゃんの目をあざむければ、アイテムやヒントは無事に次へ繋がります。
注意:
ヒントはあくまでキャラクターの知っていることしか残せません。
「まだ探索されていない場所を探せ」といったものはヒントとして適用できませんのでご了承ください。
○ぴぽちゃんについて
ぴぽちゃんは夢の中にいる間、キャラクターについて回ります。
行動は、普通の小学一年生と同じと思って構いません。
ゆびがみつかると左手のゆびが徐々に増えていきます。
主な行動は次の通りです。
・探索をするキャラクターの後ろを無邪気についてきます。
・学校や家のことをよく喋ります。遊びもだいすきです。
・難しい漢字やことばはよく分かりません。
・職員室には怖くて入れません。
・高い所には手が届きません。
ぴぽちゃんに気をつけなければいけないのは
ヒントを残す時と
ゆびを見つけられなかった時です。
・ぴぽちゃんに「ヒント」だと気づかれると、その「ヒント」は隠滅されます。
(逆に、ヒントだと気づかれなければぴぽちゃんにメッセンジャーを頼むことも……げふん)
・キャラクターがゆびをみつけられないと、ぴぽちゃんは「かわりのゆび」を要求してきます。キャラクターは夢の中で、ゆびを一本ぴぽちゃんにとられてしまうでしょう。
・そのゆびはダミーとして探索場所のどこかに隠されます。
・誰かがみつけてくれるor真相解明エンド・グッドエンドを迎えれば、ゆびは戻ります。
・ゆびが戻らない間は、実生活のなかで一カ月ほど、「とられたゆびの場所」が痛んだりするかもしれません。
○探索場所について
夢の中で最初にいるのは廊下です。
学校によくあるリノリウムの白い床がまっすぐ続いています。
後ろは行き止まり。ぴぽちゃんが届かないくらいの高さに大きな窓がついています。
窓のサッシの部分が少し出っ張って棚のようになっていて、そこに小さな植木鉢などもおいています。窓は開きますが何故か外には出られません。
廊下の右に4部屋、左に4部屋。廊下はその先にも続いていますがなぜか先には行けません。
探索する部屋は廊下の両側にある計8部屋です。
その中に4~5か所の探索エリアがあります。
※廊下は探索可能です。廊下の探索は探索回数を減らさず行えます。
ただ、ここに隠してあるものはなにもありません。
これから説明する文にこの色の単語が出てきたら、
そこが探索エリアですので、お好きな場所をお選びください。
また、「理科室」や「台所」など部屋全体を探索エリアとして選ぶこともできますが、その場合は青色のエリアに関する探索ではなく、「部屋の中に誰かの残したヒントがないか」を探すのみとなります。
探索例
・ぴぽちゃんの部屋→台所へ移動→納戸
(部屋全体と、台所の納戸が調べられます。)
・ぴぽちゃんの部屋→理科室へ移動→理科室
(ふたつの部屋の全体を見ることになります。)
・貸出カウンター→1つ目の書架→職員室へ移動
(この場合、職員室の探索はできません。
カウンター、1つ目の書架の探索と、職員室にヒントを残す行動ができます。)
<右の4部屋>
○ぴぽちゃんの部屋
ぴぽちゃんの部屋にあるのは勉強机、押入れの上の段にはきれいに畳まれたお布団、押入れの下の段には洋服箪笥と、こまごましたものが入った整理棚があります。机の横にはおもちゃ箱。部屋の隅にはおおきなくまのぬいぐるみがいて、じっとこっちをみています。
○理科室
まっさきに目に入るのはふたつの大きな棚。右の棚はビーカーやフラスコ、左の棚には剥製やホルマリン漬けがしまわれています。生徒の席は何故か黒板の前にひとつだけ。黒板横には人体模型もあります。
○職員室
校長室には歴代の校長先生が写真で飾られています。沢山の先生の机の中に、ぴぽちゃんの担任の机もありました。日程黒板にはなにも書かれていません。給湯室は職員室だけの特権です。
○台所(ぴぽちゃんの家)
どこかなつかしい匂いのする台所。そのほとんどを占領する冷蔵庫。食器棚も負けてはいませんが。コンロ台は汚れ気味。床下からはかすかなヌカの匂い。
<左の4部屋>
○学校の女子トイレ
1番目のトイレと2番目のトイレは和式。3番目のトイレは洋式です。用具室にはなつかしの「スッポン」も。……ところでトイレの花子さんが出てくるのは何番目のトイレでしたっけ?
○図書室
白い木で作られた貸出カウンターとは対照的に、書架はダークブラン。1つめの書架には物語や伝記、推理小説が、2つめの書架には色々な図鑑や地図、3つめの書架には絵本がぎっしり。図書準備室にも古い本がいっぱいあるようです。
○体育館
体育館にはギャラリーがあります。のぼれば体育館を見おろせそうです。ステージもあります。用具室にはかびくさいマットやとび箱がおいてあります。地下倉庫には使われていない生徒の机や大きな棚など、とにかく粗大ゴミばかり。
○ぴぽちゃんがひかれた野原
道のそばには開発中の空き地があります。花が一輪咲いている草地もあれば、ショベルカーが置かれていたり、大きな穴がほられていたりします。道の端の用水路に水はなく、電柱には様々な広告が貼ってあります。
○エリア内訳・オプションについて
・全35か所の探索エリアには、
「ぴぽちゃんのゆび」のある場所が5
「犯人についてのヒント」のある場所が8
「びっくりポイント」が15
用意してあります。
「びっくりポイント」はその名の如く、ちょっとびっくりしてもらおうという場所です。
『そういうの苦手だよ』って方はその旨をお伝え下されば配慮しようと思います。
逆に、
『もっとハラハラしたい!』という方のためには
徘徊する影のオプションを用意してあります。
・この影は夢の中をいつもうろうろ徘徊しています。
・自分以外の誰かを見つけると捕まえるまで追ってきます。
・捕まると探索を強制中断させられます。
影をまく自信のある方、隠密行動に自信のある方、スリルをお求めの方におすすめです。
○その他注意点
・シナリオの都合上「ぴぽちゃんのゆび」を一本でもみつけると強制的に夢から覚めます。
その尺を調整するために、探索の順番を入れ替えることもあるのでご了承ください。
(万が一……連チャンでアタリを引いてしまった幸運の寵児がいた場合は、先に探索していたエリアのほうを採用させて頂きます、すみません)
・いくら夢だからとはいえ、「常識の範囲内」で行動をすることをお勧めします。
夢はぴぽちゃんの記憶でできていますので……。