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ついてない日の過ごし方
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「理緒ちゃーん、こっち向いて~」
「紗月ちゃんもお願いしまーす!」
陽光を受けきらきらと輝く海面をバックに、
初瀬川 理緒
と
佐和崎 紗月
は、カメラに向かって微笑んだ。
5月下旬の日曜日。
二人は、寝子ヶ浜海岸で開催中のグラドル撮影会に参加している。
「その水着、すごく似合ってるよ!」
ファンの声に、理緒は「そうでしょ?」というように自信満々の笑みを見せた。
オレンジ色のホルターネックビキニは、夏の太陽のように鮮やかで、水着撮影会にはぴったりだ。紗月の海色ターコイズのフレアビキニと、対比になっているのもいい。
周囲の反応も上々で、ポーズをとるたびに「わぉっ!」「わぁっ!」と声が上がっている。
そんな反応をされたら、サービス精神も旺盛になるというものだ。
理緒と紗月は目配せをして互いを向くと、胸の前まで上げた手のひらを重ね合った。
グラドルらしいセクシーなポーズも人気だが、ペア撮影のときは、こういった仲良しポーズも好まれるのだ。
「かわいい~!」
「理緒ちゃんと桜月ちゃんのペア最高!」
ファンの声をBGMに、まるでダンスでもするかのように、次々にポーズを変えていく。
砂浜を軽やかに踏みながら、理緒はふふ、とはにかんだ。
自分一人では、まだこんなにうまくは動けない。
(でも理緒ちゃんと一緒だと、自由に動けてすごく楽しい)
「次は別々にお願いします!」
「はぁ~い」
「わかりました」
元気に返事をした後は、少し離れた別の場所へ。
その前に一瞬、二人の指先が触れた。
「夏だって勘違いしそうになるけれど、まだ5月なのよね」
「熱気は8月並みだけどね」
「そうね」
互いのためだけに微笑んで、今度こそ、それぞれの撮影場所へ向かう。
紗月は単独でポーズをとり、理緒は他のグラドルたちの輪に入った。
「紗月さん……俺、撮影会初めてなんです……生の紗月さん素敵すぎる……!」
カメラを手に感涙する青年に、紗月は「ありがとう」と微笑を向けた。
一人での撮影はまだ少し緊張するけれど、こんな素敵なファンがいてくれたら、いくらだって頑張れる気がする。
その後、紗月はほかの子らと撮影し、理緒が一人でファンに囲まれた。
「理緒さんっ! 俺、理緒さんを撮りたくて、バイトしてこのカメラ買ったんです!」
一眼レフの青年をもった青年の横で、理緒と同年代の青年が目を輝かせている。
世の中には同担拒否なんて言葉もあるけれど、こうして一緒に盛り上がってくれるのは嬉しいことだ。
理緒は彼が構えたデジカメの前で、彼が望んだポーズをとった。
グラドルとして、ファンの想いに応えるには、これが一番だと思っている。
14:00から15:00の第一部の撮影会は、こうして無事に、楽しく盛り上がった。
その後は15分の休憩の後、第二部開始の予定……なのだが。
「……なんかくもってきたわね」
「雷、鳴ってない?」
グラドルたちは、不安げに空を見た。
陽光が、完全に遮られているわけではない。
しかし、雲の動きが速い。
曇天に変わりつつある空を見上げる紗月の隣に、理緒が立った。
「今日、雨の予報はなかったはずだけど……」
紗月の言葉に、理緒がうなずく。
この撮影会のために、カメラを買ったと言っていた青年の顔が頭に浮かんだ。
紗月もまた、初めてこの場に来たという男性のことを考えている。
「……中止にならないといいわね」
「なんとか天気がもってくれたら」
そんなことを話しているうちに、15分の休憩時間は終了した。
今のところ、天気の不調は、日がかげったことと、雷の音だけ。
これならなんとか続行できると、グラドルたちは安堵の息を吐いた。もちろん紗月と理緒もだ。
※
二部はまたペア撮影から開始した。今度は腕を絡めて、手のひらをぎゅっと握った恋人繋ぎのポーズをとる。
そうして欲しいと言われたからだが、まるで日常を撮られているようで、紗月の鼓動が大きく跳ねた。
無意識に染まった頬を撮影されるのも、なんとなく照れくさい。
とはいえそんな時間が続いたのは、20分ほどであった。
ゴロゴロいっていた雷が、ドーンッ! とより大きく鳴ってすぐ。
ざあっと一気に雨が降り出したのである。
「ゲリラ豪雨だ!」
男声に、グラドルたちの悲鳴が重なる。
駆け込むには、更衣室は遠すぎる。海の家は時期的に開いておらず、逃げる場所も逃げる時間もないままに、みんなずぶ濡れになっていった。
隣にいる人の声すら聞こえない状況で、紗月はうつむき、頬に張りついた横髪を耳にかける。
「残念だけど、これじゃもう撮影会は中止よね」
はたと思い出し、個撮で自分に声をかけてくれた男性を見れば、着ているTシャツの下にカメラを突っ込み、困惑顔で周囲を見ていた。
慣れた人たちは折りたたみ傘を取り出したり、カメラにビニール袋をかぶせたり。
中にはカメラは鞄にしまって、グラドルに傘を貸している人もいた。
一方。
「ここまで濡れたら、いっそ清々しいわ」
理緒は天を向き、身体全体で雨のシャワーを浴びることにした。
そんな理緒にカメラを向けて、撮影する強者1名。
振り向き、髪をかき上げると、カメラの向こうの口の端が上がった。
そんな彼に、傍らの男性が傘をさしかける。
この撮影のために、カメラを買ったと言っていたあの人だ。
高級カメラを犠牲にしないように、傘の下からカメラを構える男性に、理緒はポーズをとって見せた。
彼らにはカメラの安全を守ってほしいし、逃げ惑うグラドルの気持ちも、こちらを不安げに見ている紗月の気持ちもわかるけれど。
「どうせ濡れるんだし!」
理緒は湿った空気をすうっと吸うと、腹の底から声を出した。
「みんな、雨に濡れてセクシーになったあたしたちを写したいと思わない?」
うわああ、と。
傘を投げすてた人の、カメラを持って走り寄った人の、早々にレインコートを着込んだ人の、雄叫びが響く。
グラドルたちも腹をくくったようで、あちこちでポーズを取り始めた。
(うん、やっぱり撮影会はこうでなくっちゃ!)
「紗月!」
「理緒ちゃんっ……」
突然理緒に抱き寄せられて、紗月は目を見張った。豪雨を浴びて一瞬にして冷えた身体に、よく知った温もりが心地いい。
カメラを持ったファンたちは、それぞれ雨濡れ装備を整えて、写真を撮り続けてくれている。
(雨でも本当に続けるんだ……。みんなあんなに動揺してたのに、理緒ちゃんの鶴の一声で)
「お客さん、結構高いお金出して参加してるからこのままだと損させちゃうよ?」
さらには耳元でそう囁かれて、さすがプロ、と思った。
(せっかくの撮影会だもの。お客さんには楽しんでいってほしい。……そう思える私も、理緒ちゃんと同じプロになれてるかな)
紗月は理緒の夏の太陽のような笑顔を横目に、理緒の背中に手を添えて、カメラに向かって笑みを作った。
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担当ゲームマスター
瀬田一稀
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
4人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2026年05月13日
参加申し込みの期限
2026年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2026年05月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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