仲良くなりたい、その８＜３年目の春を迎えて＞｜リアクション

仲良くなりたい、その８＜３年目の春を迎えて＞

〇ののこへ友チョコを

「星型のチョコ、か……」
　恵御納夏夜はたまたま入ったお店で可愛いチョコレートを見つけました。
（バレンタインの頃はまだ分離できてなかったから、僕としてはチョコをあげてないんだよね……）
　かつて双子の妹の中に別人格として存在していた夏夜は、今や自分の身体を持っていました。
　夏夜の頭に浮かんだのは、ののこの元気な笑顔。
（……ののこちゃんに遅めの友チョコとしてあげようか）
　ささやかなことだけど、以前は自分個人としてはできなかったこと。
　ラッピングしてもらったチョコを手に家路についた夏夜は考えます。
（桜花寮か、寝子島の公園等で会えたなら）
　桜花寮の玄関に近づくと、偶然にもののこの姿が。
「こんにちは、ののこちゃん」
「あっ、夏夜ちゃん！　……えっ？　なにこれ？」
「遅めの友チョコ。良かったら食べて」
　驚くののこに、夏夜は囁きました。
「実は僕、妹のふりして寝子高の祭に混ぜてもらった事があってね……ののこちゃんの、猫の仮面にレモンイエローのドレス姿、素敵だった。機会があればまた見てみたいな」
　ぽかんとしていたののこは、それを聞いてにっこりと笑いました。
「ありがとう！　今度は夏夜ちゃんとお祭り楽しめるね」

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