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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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この気持ちに名前を
夏休みだが、北里 雅樹は用事があって寝子高へ来た。３年生にもなれば、進学のことで担任に呼ばれることが多くなる。用事を済ませて校舎の外へ出ると、グラウンドでちょうど元カノの椎井 莉鳥が炎天下にも関わらず陸上部の練習に励んでいるのが見えた。
その様子を木陰から何となく眺めているうちに、休憩になったらしい。莉鳥はタオルで汗を拭きながら校舎へと歩き出す。
そこへ、雅樹と莉鳥の、互いの視線が重なった。
よう、椎井――そう言ったはずだった。しかし現実に言葉として出たのは……。
夏休みだが、莉鳥はこの日も陸上部の練習で学校に来ていた。
午前中とはいえ炎天下。何度跳んだかもうわからない。
身に纏うライムグリーンのＴシャツも汗で濡れそぼり、肩で息をしつつ、何度か跳躍するけど、昼休みの時間になったので、練習をいったん終える。
休憩が終わったら午後からは体育館での練習。新しいＴシャツに着替えようと思い、部活棟へ向かう途中で……腐れ縁のあいつ……北里雅樹に遭遇した。
元カノに元カレが付きまとう──と書けば、下手すればストーカーだが、腐れ縁になってからの方がかえって二人の関係がしっくりくるのは皮肉だろうか。
いつも通りの「よう、椎井」というかけ声を聞くはずが──元カレの口から発せられたのは。
「よう莉鳥」
「……！」
硬直したように立ち尽くした。
言葉をかけた雅樹も、かけられた莉鳥も。
莉鳥は自分の名前について、いい思い出なんて何もなかった。
けれど今は、それ以上に莉鳥の心の中で動揺が走っていた。
今まで感じたことのないような、気持ち。
今まで感じたことがないとするならば、これは友情の念でも恋愛感情でもないのだろうか。
それならば一体何なのか。
混乱する思考の中で、妙なうずきが莉鳥の胸を襲った。
息をするのが苦しいくらいのうずき。
（目の前の元カレには、もう感情の揺らぎなど感じないはず……なのに、また、それを感じている……？）
自問自答してみるも、答えは出てこない。
（俺は何を考えてるんだ？）
莉鳥の表情を見て、自分の名前を呼ばれたことを不快に思ってはいないのはわかった。
気分を害してしまっていないことに安堵するも、莉鳥が動揺しているのは見て取れた。
雅樹と莉鳥は幼馴染で、元恋人で、今は腐れ縁。
恋人だったころにも、雅樹は莉鳥を名前で呼んだことはなかった。
莉鳥が、自分の名前を嫌っていたから。
一体何を考えて、雅樹は今までにない呼び方で彼女を呼んだのだろう。
残念なことに、雅樹自身にもわからなかった。
（あー……でも何なんだ、この気持ちは……？）
胸の奥で妙にくすぶっているような、ほんの微かに残っているような。
そんなじんわりとした熱のかけらのような……？
それは決して、嫌なものではない。温かい、けれどもどこかもどかしい感情。
（何なんだよ、この妙な気分は）
これではまるで、恋をしているような……？
（俺と椎井とはもう終わったんだ。ただの腐れ縁だ。それとて、来年で終わるはずの……）
掴みかけた答えを、かき消すように心の内で事実を呟く。
それでも、この何とも言い難い感情は消えなかった。
じっとりとした熱い風が、雅樹と莉鳥の間を抜けて行く。
２人の表情は夏の気温のせいか、赤い……理由はきっとそれだけではない。
汗をかいた肌に触れる風は、実際の温度よりも冷たく感じた。
そこで莉鳥は、今が昼休みで、着替えようと思っていたことを思い出す。
自問自答の答えは出ないままだが、このまま立ち尽くしているわけにはいかない。
「昼休みに着替えたいから、またね」
「ああ」
短く言葉を交わして、莉鳥は部室へ、雅樹は帰路へ歩き出す。
夏の暑さのせい、とひとことで片づけてしまうには、難しい感情。
２人の自問自答はしばらく続きそうだ。
（私は、なぜ……？）
（……何なんだ、この説明不能な感情は？）
その様子を木陰から何となく眺めているうちに、休憩になったらしい。莉鳥はタオルで汗を拭きながら校舎へと歩き出す。
そこへ、雅樹と莉鳥の、互いの視線が重なった。
よう、椎井――そう言ったはずだった。しかし現実に言葉として出たのは……。
夏休みだが、莉鳥はこの日も陸上部の練習で学校に来ていた。
午前中とはいえ炎天下。何度跳んだかもうわからない。
身に纏うライムグリーンのＴシャツも汗で濡れそぼり、肩で息をしつつ、何度か跳躍するけど、昼休みの時間になったので、練習をいったん終える。
休憩が終わったら午後からは体育館での練習。新しいＴシャツに着替えようと思い、部活棟へ向かう途中で……腐れ縁のあいつ……北里雅樹に遭遇した。
元カノに元カレが付きまとう──と書けば、下手すればストーカーだが、腐れ縁になってからの方がかえって二人の関係がしっくりくるのは皮肉だろうか。
いつも通りの「よう、椎井」というかけ声を聞くはずが──元カレの口から発せられたのは。
「よう莉鳥」
「……！」
硬直したように立ち尽くした。
言葉をかけた雅樹も、かけられた莉鳥も。
莉鳥は自分の名前について、いい思い出なんて何もなかった。
けれど今は、それ以上に莉鳥の心の中で動揺が走っていた。
今まで感じたことのないような、気持ち。
今まで感じたことがないとするならば、これは友情の念でも恋愛感情でもないのだろうか。
それならば一体何なのか。
混乱する思考の中で、妙なうずきが莉鳥の胸を襲った。
息をするのが苦しいくらいのうずき。
（目の前の元カレには、もう感情の揺らぎなど感じないはず……なのに、また、それを感じている……？）
自問自答してみるも、答えは出てこない。
（俺は何を考えてるんだ？）
莉鳥の表情を見て、自分の名前を呼ばれたことを不快に思ってはいないのはわかった。
気分を害してしまっていないことに安堵するも、莉鳥が動揺しているのは見て取れた。
雅樹と莉鳥は幼馴染で、元恋人で、今は腐れ縁。
恋人だったころにも、雅樹は莉鳥を名前で呼んだことはなかった。
莉鳥が、自分の名前を嫌っていたから。
一体何を考えて、雅樹は今までにない呼び方で彼女を呼んだのだろう。
残念なことに、雅樹自身にもわからなかった。
（あー……でも何なんだ、この気持ちは……？）
胸の奥で妙にくすぶっているような、ほんの微かに残っているような。
そんなじんわりとした熱のかけらのような……？
それは決して、嫌なものではない。温かい、けれどもどこかもどかしい感情。
（何なんだよ、この妙な気分は）
これではまるで、恋をしているような……？
（俺と椎井とはもう終わったんだ。ただの腐れ縁だ。それとて、来年で終わるはずの……）
掴みかけた答えを、かき消すように心の内で事実を呟く。
それでも、この何とも言い難い感情は消えなかった。
じっとりとした熱い風が、雅樹と莉鳥の間を抜けて行く。
２人の表情は夏の気温のせいか、赤い……理由はきっとそれだけではない。
汗をかいた肌に触れる風は、実際の温度よりも冷たく感じた。
そこで莉鳥は、今が昼休みで、着替えようと思っていたことを思い出す。
自問自答の答えは出ないままだが、このまま立ち尽くしているわけにはいかない。
「昼休みに着替えたいから、またね」
「ああ」
短く言葉を交わして、莉鳥は部室へ、雅樹は帰路へ歩き出す。
夏の暑さのせい、とひとことで片づけてしまうには、難しい感情。
２人の自問自答はしばらく続きそうだ。
（私は、なぜ……？）
（……何なんだ、この説明不能な感情は？）
あとがき
担当マスター：
鳴葉ゆらゆ
ファンレターはマスターページから！
シナリオにご参加いただき、ありがとうございました。
鳴葉ゆらゆです。
ドキドキした気持ちを感じていただけましたでしょうか。
楽しんでいただければ幸いです。
また機会がありましたら、よろしくお願いいたします。
鳴葉ゆらゆです。
ドキドキした気持ちを感じていただけましたでしょうか。
楽しんでいただければ幸いです。
また機会がありましたら、よろしくお願いいたします。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2019年03月26日
- 参加申し込みの期限
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- 2019年04月02日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2019年04月02日 11時00分
