仲良くなりたい、その７｜リアクション

仲良くなりたい、その７

☆詠寛美

　市橋誉は、わくわくしながら弁当を持って屋上に通じるドアを開けました。
　今日は詠寛美が屋上に弁当を食べに来る日なのです。
　勿論、今日も手作りの弁当を二人分用意しています。
「詠、こんにちは」
「おう」
　答えた寛美の周囲に弁当がないことを確認してから、誉は問いかけました。
「隣、いいか？」　
「お前、またそんなに弁当持ってきて……」　
　興味のなさそうな様子で、でもしっかり弁当を見ながら寛美は場所を空けるのでした。
「暑いので、おやつに冷たいゼリーも作ってきた」
「しょうがねえな、残ったら悪くなるもんな」　
　誉が渡した弁当の蓋を開き、色とりどりのおかずに目を輝かせます。
「いただきます」
　手を合わせる寛美。
　美味しそうに食べる彼女を見ているだけで、誉は幸せでした。
（名前で呼び合う仲になれたらな……）
　せめて友達と思われていたい、と願う誉です。

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