『画面の向こう』-2-
傷だらけの感情をなんとか継ぎ接いで、漸く保っているのが分かって、哀しかった。
同時になんだか、腹が立った。
見えて無いの? 泣いてる自分が。
馬鹿にしてるの? 私の事を。
見えないなら、見せてやる。
スマホを構え、カメラを起動させる。
「泣いてるのが分からないなら、見せてあげる。今の自分を」
勢いで押したシャッター。
切り取られた彼女の口元は、スマホで隠されていた。
その画面に写っているのは笑顔の口。
目は赤く、腫れているのに。
「なんでよ、馬鹿……」
私の目から涙が溢れる。
また、振動。
『ワタシノカチィ』
彼女の目にも涙が溢れる。
「バカ、バカ、バカ……」
それからしばらく、二人で泣いた。
『画面の向こう』-1-
『マジか、ちょっとキツイわー』
『凹むね、これは』
『仕方ないし、チット頑張るわ』
ネコッターに、彼女の感情が投下されていく。
スマホという端末を通して語られるそれらは、純粋に彼女の全てを写している訳では無い。
画面を滑る指が並べ替え、変換が改変する。
だから少なくとも、ネコッター上の彼女はフツウに見えた。
だから気付きはしなかっただろう。
校舎の裏に消える彼女の、震える肩を見なければ。
後ろに結んだ茶色の髪が、フワリと揺れて、視界から消える。
立ち去ろうとして後ろ髪を引かれたのは、私の方だった。
ネコッター上では、相変わらずの会話。
『売店のおばちゃん最強説』
『ウケル。半端ねー』
続けながら、彼女が消えた校舎の角を曲がる。
彼女はそこで、へたり込んで、肩を震わせ俯いていた。
「なんで、話してくれないの?」
語りかける。と、スマホが震えた。
『コッチクンナ』
この期に及んで、DMだと?
「いつもそう。どこかに消えて、笑って出てくる」
再びの振動。
『アッチイケ』
<都合のいい言葉だけを継ぎ接ぎして、とりあえず笑顔作って、>
<それでいいじゃない、ねぇ?>
(以下PL)
コンセプトワード指定しての丸投げでお願いしました。
わー色っぽい! かっこいい! 素敵!
丸投げという事でどんなイラストになるのかとても楽しみだったのですが、
想像以上に素敵で、また彼女の別な一面を描いて頂く形となり、大満足のポトレです!
ここの描写はこういう意味で、ここはこんな意図で……といろいろ想像が膨らんで止まりません。
抽象的なワードだったと思いますが、見事に昇華して頂けて、とても嬉しいです!
お頼みして本当によかったです……!
アミジョウ様、ありがとうございました!