暗躍する二つの組織…通称sPadEとcloVeR――…
数年前から両陣営の勢力抗争が一層増し、確執は深くなるばかりだ。
そしてついにその若きエース達が相見える時が来た。
合言葉は互いが持つトランプの絵柄。
それらが意味するのはここで語られる事はない。言わずもがなな話だ。
初対面にも関わらず互いの経歴等は頭の中に入っている為、両者とも初めてな気がしない。
二人にしか分からない思惑が入り混じった蒼と黄緑の視線が交わされる。
先に仕掛けたのは怜悧な瞳を浮かべた蒼髪の青年。
隠し持っていた銃を目の前の彼へと向ける。
その様子に動揺した様子も無く、くくっと喉奥鳴らして獰猛に、且つ悠々たる態度で嗤ってみせた。
「いきなり物騒っすねー。あ、もしかして余裕ねーの?」
「自分はいつ如何なる時どんな相手に対しても油断はしねぇ」
「ふぅん、俺はもう少しこの状況を愉しみたいっすけどねー折角会ったばっかだし」
飄々とした態度に眉根を寄せて蒼眼の青年は睨み付ける。
ああ見えて隙がない。小さく舌打ちし、銃を構え直す。
「悪ぃがこっちは暇じゃねぇ。時間を取らせるな」
「ノリ悪いっすね」
「茶番は終いだ」
響く銃声が合図となり、火蓋は切って下ろされた。