額縁に囲われた白黒の世界。
この世界には色がない。故に無限に広がりながら閉塞している。
古い映画のように乾いて味けない無彩色の世界は僕の心象風景にも似て、ただひたすらに空虚で寂寞。
耳にそっと手を添える。
常冬の髪が緩やかな動作に合わせて揺れる。
僕を形作る輪郭が静寂に溶けて消えてしまいそうな恐怖に駆られ、音を逃さぬよう手で耳を囲む。
この世界はなんだかとても寂しい。
独りでいた頃は寂しいという感覚さえわからなかった。一人でいる今は寂しいという感覚が少しわかる。
『花をさがして』
『貴方の色を教えて』
耳朶に甦る少女の懇願、鼓膜に宿る甘い残響。
静かに目を瞑り、記憶に残る色を反芻する。色のない僕に宿る色、それは一体どんな色だろう。
僕の色を乞い求めてさ迷い歩く、僕の花を恋い求めてさ迷い歩く。
色を喪失した少女の懇願は凍えきった僕の心の奥底に潜む願望であり渇望。
そして、ついに出会う。
白い向日葵。
現実には存在し得ない異形の花
これが僕の探し物、僕の記憶を照らす花。
地上に落ちた白い太陽におそるおそる手を伸ばす。
怯みつつ指を触れた瞬間、尖った花弁の先端から仄かに色づいて本来の色を取り戻す。
綺麗だな。
今は素直にそう思えた。
PL:ポーズなど、かなりの部分をお任せにしてしまいましたが
とても素敵に仕上げてくださってありがとうございます!
ポーズやカーディガンの柔らかそうな感じや翻り方
六の細さや髪の塗りや背景の雰囲気など、どれもこれもお気に入りです。
ソア絵師様にお頼みして良かったです!また機会がありましたらよろしくお願いします。