人肌のぬくもりを感じながら眠りにつくのは何年ぶりだろう
規則正しい寝息に震える繊細な睫毛、呼吸に合わせて緩やかに上下する平たい胸、俺にしがみついて離れない華奢な体躯。
子供のあやし方なんて知らない。誰も教えちゃくれなかった。だからこういう時どうしたらいいかわからない。教えてくれ、誰か。これじゃ動けやしねえ、おちおち小便もいけねえ煙草も喫えねえ。
戸惑いがちな手をおずおずと背中に添え、ぎこちなくなでさする。
かすかに頬が震える。起こしてしまうのを警戒し、慌てて手を離そうとするも、それを遮るようにふっくらした手が裾を強く掴んでくる。
ただでさえ小さい体をさらに縮め、もぞもぞと潜り込んでくる姪っ子を微妙な表情で眺めつつ、背中に添えた手を往復させる。
なんだか小動物に懐かれてる気分だ。シャツに染みついた煙草の匂いが姪っ子のパジャマに伝染っちまうのを気にする。
「そんなに強く掴んだら皺になるだろ、ったく」
小さくぼやき、根負けして毛布を掛け直す。
やれやれ、長い夜になりそうだ。
あいやーるいりにルービックキューブ教えてくれるって約束したのに先に寝ちゃった?
でも起こすの可哀想
叔叔、お仕事で疲れてる
るいりも眠い
でもがまん
悪い人がこないか見張ってなきゃ
……(うとうと)……(はっ)……寝てた?
るいりが寝ずの番……してるから……安心……すやぁ
起きたらいっぱいあそぼ、叔叔。