(まるで今しがた盗み食いでも働いていたみたいに、そろーりと振り向いて)
(志波サンの顔をみて吐息)…あんたか。
なんか。火ーつけるたんびに会うよね。しかもミョーなトコで。
って花風も。…参ったな(困ったように頬をポリポリ)
でも…そーか。あのとき(=路上ライブ)からだもんな。今更か。
綺麗…か。…あんま得意じゃねーけどね。ホントは。
暖かくて。まるでイキモノみてーなのに触るコトすらできん。せーぜー…んん?
(灯に「燃やすぐらいにしか役に立たない」と言われて片眉上げる)
…同じさ。目的がなんだろーと結局焼いて燃やすしかないんよ。
オマエみてーなヤツが居てよーやくなんとか使えんだぜ。知ってんだろ灯。
あたしはちーとばっかしカテゴリ広げてやってるだけだし…
(さすがにもう驚かない。
桃川に気づくとぶっきらぼうに、明らかにわざとらしい斜に構えた態度で)
だし乱暴なぐれーのが合ってんじゃね?いっそ。ロクなモンじゃねーし。
なんせ未練つー荷物ごとソイツを焼いちまうかんね。…ハ。せーせーすっし。
なんだ。もしかして…心配でもしたの?
(ウザい口調でいやらしくにやにや。少し…そうしていたけど。やがて、そっと)
…そんなハズあるかよ。
(連なる語意を思えば荘厳ともとれる詞を、半ば子守唄のごとき旋律にあずけて。
子供に読み聞かせるように。なぐさめるように。ほつり。ほつり。歌う…)
汝の苦艱望み 彼の呪言を説く
怖かば慄け 夜は昏い
哀しかば哭け 冬は寒い
忍ぶなかれ 歎きの真
忘るるなかれ 慶びの理
さもなくば
厳くしき雪は尚鎖し 陰は尚落す
其が泪を 新たなる憂戚の呼水たらしめぬよう
吾が血の宿にて 灼たかなる康寧の灯手向けん
ゆえ…汝の安息望み 此の祝詞を詠む
之なる貰火 吾が意に斉し
なれど一夜の篝 窶すに斉し
赦し給え 腑甲斐なき浄め
赦し給え 謂れなき鎮め
せめて
美くしき春日の導とし 照陽の調べとす
そがなみゃdrぶhっ(不意に声をかけられて噛み噛み)
(この場に居合わせたヒトは、聞いていたコトにしてもヨイし、そうでなくてもヨイ)
幽霊に”効く”……なんてのは乱暴な言い方だけど。
そういう火だっけ、それ。
縁も何もない幽霊が相手でも、お別れは悲しいもんなの?
……だって、そんな顔してるから。
そーいう顔、なんか……ううん。
なんでもないの、別に。
(ぶつぶつ言ってぷいとそっぽを向き)
静かにともる清めの火、か。僕の炎なんて何かを燃やすぐらいにしか役に立たないのに、すごいな…。
綺麗…。
命の焔って感じがする…。
…ほう…
綺麗なもんだな、その炎。