昼下がりの図書館にて
カジュアルな私服を着た先輩が、机に広げたノートや参考書と涙目で睨めっこしている。
(本当になんというか……控えめに表現しても、驚くべき低能だな)
初歩的な方程式に手こずり半泣きな横顔に素朴な感想を抱く。
本当に年上なのかと疑いたくなる頭の悪さはもはやあきれを通り越し感動的だ。
「ここわかんないよ~教えて譲くん!」
「またか。少しは自分で解く努力をしたらどうだ」
「うう……でもでも、私だって一生懸命頑張って考えたけどわかんないんだもん」
不服そうに唇を尖らせて俯く。
「……しょうがないな」
ため息を一つ、シャープペンシルの芯を出して先輩が躓いた方程式を解いていく。
身を乗り出したはずみに肘が触れ合う。
サイドテールの先端がくすぐったく頬を掠め、おそらくはシャンプーだろう柑橘系の爽やかな匂いが鼻腔をくすぐる。
(……距離が近すぎる)
気付いた時には遅い。今さら身を引くのはわざとらしい。努めて意識せぬようさりげなくを装い、上気した頬を隠して俯き、ノートの罫に機械的にシャーペンを走らせる。
若菜先輩は無防備すぎる。
俺が異性として意識されてないだけか?
「……証明終了」
「すごい譲くん!」
…勘弁してほしい。
えええええっ、ちょ、ちょっと待って!
さ、参考書で調べるから!
せ、先輩なんだし、譲君もわからないことがあったら聞いてね!
○PL
表情豊かな若菜とクールな譲さんの対比が素敵です!
背景や小物の書き込みも細かくて、みていてとても楽しいです。
この度は素敵なイラストどうもありがとうございました!
まったく……こんな初歩的な問題もわからないのか?
二年間なにを学んできたんだ
その前頭葉は飾りか?
閉館時間までみっちり教えてやるから覚悟しろ
PL
背景の奥行きと描きこみがすごい……!表情豊かな若菜さんとクールで知的な譲の対比が引き立ってます
二人のアッションもそれぞれのイメージに合ってて素敵です。
おまけっち絵師さま、素晴らしいポトレありがとうございます