黄昏の川辺、草叢に蹲る一人の少年
その目は貪るように古びた本の活字を追っている。
「ふむ……興味深いですとねぇ」
知識欲と好奇心に溌溂と輝く緑の目、静的な興奮と知的な喜びに溢れた表情。
丁寧に項をめくる所作から本への愛情と読書という行為への没入ぶりが饒舌に伝わってくる。
時折ふむ、なるほど、という独り言を挟みながらもページをめくる手は休めない。
ともすれば瞬きすら忘れがちな集中力を発揮し、閉じられながらも開かれた本の世界にのめりこんでいた少年が、ふと一息ついて顔を上げる。
気付けばとっぷりと日が暮れている。
目の前を緩慢な光の軌跡が過ぎる。
「あ」
蛍だ。
それも一匹じゃない、沢山の蛍が互いを恋い慕うよう川のほとりを飛び交っている。
群れ集う蛍の光に淡く照り映える宵闇を見渡し、感に堪えかねたように呟く。
「蛍…とても綺麗です」
そういえば、蛍は火垂るとも書くんですとね。
本を押さえる手元に蛍が迷い込んでくる。
蛍がとまった箇所に目を落とし、その一節を読み上げる。
「大蛍ゆらりゆらりと通りけり」
さる著名な俳人の一句を眼前の情景に重ねてしみじみ反芻し、本を閉じて横におく。
「大蛍も小蛍もみんな仲良く飛べるのが一番ですたい」
…!
本に夢中になっとったけん気づかんかったとですが、蛍の光のおかげで明るくなっとったんですね
蛍…とても綺麗です
あんなテキトーな発注文からこんな素敵なイラストになるとは、思わんかったです
丸投げしとった服装もとても素敵です
ワジマ絵師に感謝。また機会があったらおねがいしたいです