(PL:ジニーさんTLでお願いしたSSありがとうございます…! 哀坂背後、感謝感激でございます…!
素晴らしい表現力、子夜の性格の理解力、ジニーさんの癒しっぷり!(こら)
もしまた機会があれば宜しくお願い致します…! お返しはまだ何も思い付いておりませんがいずれ必ず…!)
とある波止場の倉庫街、悪趣味な柄シャツをはだけへたりこんだ男の眼前で非日常の殺陣が繰り広げられる。
冴えやかな月光を凛と照り返し白刃が乱舞、鉛の銃弾を縦横斜めに翻る刀のおもてで弾き瞬速の神業で両断、どこまでも鋭利に研ぎ澄まされた刀身に血が沫く。
斬り捨てられた骸が累々と散乱する路地に身を晒し、気だるげに振り返ったのは玲瓏たる美貌の少女。
日舞の嗜みを憶測させるたおやかな身ごなしとえもいえぬ優雅な所作、滝の如く着物の背に流れ落ちるぬばたまの黒髪がやんごとなき気品を引き立てる。
その手には不似合いな日本刀が一振り、切っ先から血を滴らせている。
「……見たね」
一切の感情を宿さぬ虚ろな目。
整いすぎて不吉な容姿から発せられる声には一切の抑揚がなく、幽鬼じみた瘴気の漂うたたずまいに似合いすぎて、まるで運命のように目が離せない。
思案するような数呼吸の沈黙の後、返り血の波紋を懐紙で拭い取り、刀を鞘に納めて呟く。
「……君の事は、頼まれてない。だから知らない、よ」
好きにするといい。
衣擦れの音一つたてず少女が立ち去った後、血の海の惨状を唯一生き残った男は背中で壁をずり落ちながら呟く。
『……忙死了』
まいったぜ。
哀坂先輩、女が扱う刃物は包丁と薙刀だけにしとけって爺ちゃんが言ってました。いや、爺ちゃんの言う事だしあんまあてにはならないんですけどね。
うんうん、刀剣には手馴れたご様子ですね!