繰り返すほど深まる夢の中で再び目が覚めた
僕が居るのは毎度同じ、綺麗で小さな夜の湖…その真ん中にある小島
海と違って水に満ち引きは無く、かと言って舟の様なものも見当たらない
あるのは座り込む僕の背を支え立つ扉だけ
ツル植物と花が絡まって最早開くことも叶わないそれを背に僕はいつも美しいばかりの世界をぼんやりと眺める
静かだ
僕以外誰も居ない
淋しいとかは分からない
僕はもう、疲れてしまったから
不意に何か大きな音を聞いて胸の奥が痛んだ気がしたけれど体を動かす気にはなれず微睡む
ふと誰かの手が優しく頬に触れた
僕はこの手を知っている
「やっぱりお前は優しいね…」
瞼の重さに逆らわず目を閉じる
知らず笑みを浮かべつつ意識を手放した
*
髪飾りはニゲラ(花言葉:「密かな喜び」「夢の中の恋」「Love-in-a-mist」)
現実は夢遊病状態で歩き回って交通事故に遭い倒れ伏すものの、夢の中では逆に一番甘く幸せな幻覚で眠りに落ちる、所謂メリーバッドエンド。
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納品有難うございました。毎年この企画が楽しみで、作品は全て拝見しております。
難しいシチュエーションでお願いしましたが今年も素敵な一枚、本当に嬉しいです。お世話になりました。