―見つけた、
「ゆーちゃん!(抱きしめ)」
「服部…?」
「…言うたよな、見られとる内は何処にも行かんて…ほんなら、」
「島中で皆が動いてるね。分かるよ。
今夜僕達が消えてしまうかは分からない。
…随分夢中で来たみたいだけど、分かってるの?もし皆が失敗したら、君の最後は此処になる。僕しかいない。何も出来ない。それでも、」
「ーーせやな。従兄弟に、兄貴に、…あの子に。明日も、その先でも会いたい奴らは沢山おる。俺かて消えんのは嫌や。ーーそれでも、俺はこっちを選んだ。…向こうに走って行ったら…お前から目ぇ離してまうから」
「…ほんと、ばかなんだから」
(以上ここまで台本)(担当はほぼ弥逢背後)
本当に消えないでくれと願うのなら、さっきの道を左に、仲間の背を追って一緒に駆けて行けばよかったのだ。
―でも、それでも。
「ゆーちゃん、…ゆーちゃん…!」
夜明けより先に消えてしまいそうな友が居る。
「くそっ…早まったら剛さんほんま許さんで…!」
『ねぇ、今夜の月を見た?今までで、一番綺麗…』
切れてしまった電話。夢に溶けてしまいそうな声は甘くて、でもどこか哀しい色。
「今度こそ、今度こそや!もう二度と、ッ」
誰にも何にも奪わせたりしない。
「忘れもんも失くしもんもしてきた剛さんやけどなァッ、ゆーちゃんだけは失くしたりせぇへん!!!」
駆ける。季節外れの桜が咲くという、その場所へ。(続く⇒)