『僕の事忘れないでね』(https://rakkami.com/scenario/reaction/2290?p=15)
…あの日そう告げた僕と、抱かれていたあの子は今もこうして一緒に居る。
「本当に月が綺麗…」
踏みしめる砂漠の砂の感覚が森とは違う。素足でも歩けるから大丈夫だと伝え、友達だという首なし馬の所へあの子たちを見送って歩いていたら。
「ゆーり!」
「っん、…なぁに、お友達にリボンを見せてくるんじゃなかったの」
ほぼ気配無く追突された。砂が音を吸っていたのだろう。加減はしてくれたようで砂に頭から突き刺さるようなことはなかった。
可愛い子たち。僕の瞳とおんなじ色で首元を飾ってあげたら喜ばれて、友達に見せたいというからここまで来たのに。
「ちゃんと見せたよ!」「ゆーり、ゆーり」
「うん、うん。僕も会えるといいなぁ、案内してくれる?」
可哀想な子たち。僕の瞳の所為で君達の運命は狂ってしまった。
襦袢の袷を間違えたと直している時怪訝な顔をしていた君達は僕の想いを何も知らない。僕も告げない。
「こっちだよ!」「もっと月が綺麗に見える場所!」
「…そう。じゃあ行こうか」
――今日も月だけが僕の全てを見ている。
***
先にPLより。
あまりにお早い納品で椅子から落ちました(
無茶ぶりしたのにいいんですか大丈夫ですか!?と確定メールが来た時あまりに身勝手なことをモニターの前で叫びましたが、納品を見ても「あまりにも凄いのですが大丈夫ですか!?」と最早何に対する問いかも分からぬ叫びを上げてしまいました…。
未来キャンペーンでは所謂『有り得ない未来でも可』ということだったので、魔界に関わるホワイトシナリオの延長線上、現世を捨てて魔界であの日出会ったケルベロスの成犬と一緒に暮らしているイメージをキャビネット式でお頼みさせていただきました。
ホワシナ時のドリアード設定を一部残そうと思って創作界隈で昔少し流行った花吐き病の亜種のイメージで立てた笑い声や零した涙が金木犀の花になる感じを表現して頂いた他、現世を捨てているので敢えて襦袢の袷を通常と逆にしてもらったり、現実世界に生き難さを感じていた子なので心底幸せそうにしてもらったり注文は大変多かったのですが全て叶えて頂いて本当に有難い限りです。
以前まもの企画でお世話になった時に「やっぱり好き!」と思って再注文でした。再びのご縁に心より感謝します。ありがとうございました!