千切れかけたベルトにぶら下がったポーチから取り出したのは、彼女お手製のクッキーだ
最後の3枚。偶然ではない、故意でもない。残るべくして残った、最後の3枚を口に放り込む
「人を嘗めてかかると痛い目見るよぉ?夜明けまではまだ時間はある」
目に見えぬ蒼い雷光とともに、
鉄骨、鋼線、硬貨、車両、工具……あらゆる『金属』が、彼女に傅く
彼女の右手が指揮棒となり、指の動きに従い『金属』たちがひとつの形を成していく
「それにね」
成した形は―――槍。天すら貫けそうな大質量のそれは、
彼女の能力によって縒り固められた『ガラクタの槍』だ
その槍を頭上に浮かべて、彼女は嘯く
「うちはそうやって人を甘く見ている奴の、苦悶の顔を見るのが一番好きなんだよ」
―――夜明けまで、数刻