ーー其の船は大海へと旅立つ以前から多くの犠牲者を生んだという。
人々は口々に囁いた。
「あの船は、生誕前から呪われていた。」
ーー其の船の洗礼を担った年若き少女は不可解な死を遂げたいう。
少女の知り得る筈のない
魔術文字で遺されたメッセージ。
「私は魅せられました」「守り給え」
人々は口々に噂する。
「そう、あの船は呪われていた!」
果たして、その伝承はーー。
人は信じたいものをこそ、信じようとする生き物だ。
其れが数多の善意に、悪意に、虚偽に、欺瞞に彩られた
偽りの″真実″であったとしても。
真の″真実″というものは、そう。
求め、識ろうとしなければ、知ることすら叶わぬものだ。
『それではどうぞ、語って頂戴。
あなたにとっての″真実″を。』