何度も繰り返し読み、暗唱できる程の物語。
お話の中で散らばった悪魔の鏡の破片の一つが
私の胸には刺さっているの。
何故なら私の両眼には人が化け物として映るから。
けれど、私は知ってるの。
本当はそんな私の方が
世界の誰より薄気味の悪い、化け物なんだってこと。
…たった一人でいい。
もしもこんな私でも、欠片も恐れずいられる誰かが
この世界の何処かにいるのなら。
どうか、ずっと。
ーー独りは悲しい。独りは嫌なの。
美しく輝く六花の城。
凍てつく様な冷たさも一度慣れ親しめば
苦に感じることもない。
雪に、氷に身を任せ、ただ心を凍らせる。
この孤独は摂理だと。
けれど、望むモノがただ一つ。
長い間独りきり、探し物をしているの。
眼には映らず、耳にも聴こえず
脆く儚く美しい、柔らかで暖かいその二文字。
其れを視ることが出来るなら。
識る事が出来るというのなら。
触れられるというのなら。
暖炉に恋した雪だるまの様に
溶けて消えても構わない。
どれだけの犠牲を払おうと。
総てを喪うことになろうとも。
私は其れを。
陽の光浴びる薔薇の庭に
焦がれ続けて幾星霜。
ーー幸せになりたい。