怯え続ける少女には100年の呪いも届かない。
100年続く祝いでは少女を眠りに落とせない。
では、1000年であったなら?
終焉を匂わせぬ祝福ならば。
一時の気休め、いつか枯れ朽ちるものではなく
永劫に続くものであると、信じるに値するものであったなら。
暗がりの最中息潜め、少女は身を縮こめる。
怯え続ける少女には100年の呪いも届かない。
100年続く祝いでは少女を眠りに落とせない。
『私に触れないで』
青の瞳に涙を滲ませ、震えた声で少女は呟く。
『恐ろしいモノばかりの世界で
誰が私を心から守ってくれるとそういうの』
少女の嘆きに呼応して薔薇の茨は生い繁り
棘は鋭さを増していく。
『恐ろしいコトばかりの世界で
誰が私を心から愛してくれるとそういうの』
茨は少女を閉じ込めて、独りの城へと縛り付ける。
『傷つく勇気を、傷つける覚悟を
持ち合わせていないというのなら
私のお城に踏み入らないで』
『だってそう。私はそう。
きっと化物なのだから。
きっと怪物なのだから。』
『王子様なんて、何処にもいない。』
『何もかも全部、大嫌い』
拒絶の言葉を吐き連ねながら
少女はその瞳から涙を零し
どうして、とその身を両腕で抱きしめる。
『私はただ、傷つきたくないだけなのに。
私はただ、誰も傷つけたくないだけなのに。
なのに、どうして。』
『本当はみんな、大好きなのに』