ーー其れは少女の精神世界。
ーー今を生きる少女の心の世界。
ーー故に、どの領域においても、変化の可能性は残されている。
焔にまかれる脆い身体が痛みと共に熱をもつ。
崩れ堕ちるあの城は私の生きようとする気持ちだろう。
狂った私がこの身に宿した
強烈な死への憧憬が永劫消えることはなく
「私が生きている」という現実以上に見たくないものなど他にない。
けれど此処では終われない。
それ以上に見たい現実を、私はまだ見ていない。
せめて、せめて。あと少しだけ。
それを見届けるその日まで、私が私で在れます様に。
恋しい貴方に情愛を。
麗しの貴方に敬愛を。
世界の誰より愛おしい、私の貴方に幸福を。
両手に余る花束を。
拒絶の焔の中でさえ、想いの具現たる薔薇は
傷一つなく咲き誇る。
星の輝きを塗り潰す黒。
穢れ堕ちた月を覆う雲。
幼子が啜り泣くかの様に館は絶えず崩れ落ち
瓦礫の雨音が不規則に響く。
世界を覆う灼熱は怨嗟か嘆きか。
或いは、其のどちらにも属さぬ狂想か。
ここは救われることのない楽園。
招かねざる者は決して受け入れず
悉く灰燼へと還す壊れたセカイ。