やあ、よろしうお願いします、らぎらぎ君。
おじーちゃんが美味い鴨南蛮を作って待っているからよって言っておりました。
今日の賄いはきっと鴨南蛮パーティーですよ。
道中くれぐれもお気をつけてー! ふっふ。
のっとういりー、ぐっとどらいぶー!
ふっふ。おお、これは雨宮さん!いらっしゃいませー!
あなたのそばにすすきのーすすきのー。
ふっふ、はい、掻き揚げ蕎麦ひとつですね、承りましたっ
はいー。常連さんで、クラスメイトの方なんですよー。
バイクの免許を取得されたという事で、おじーちゃんが出前のアルバイトをお願いしまして。
バイクで出前するのも、こう、素早くお届け出来てええですよねぇ。
「……どうしてこうなった。」
そう、俺はただバイクで薄野んちに蕎麦を食いに来ただけだった。
それだけの話で済めばいつものように、鴨南を食って満足感に浸りつつ帰る筈だったのだ。
だが、そうもいかないのが世の常であり寝子島住民である。
すすきののおやっさんが、俺がバイクの免許を取得したことを知るや否や
あろうことか、この俺に
ヤンキー、冷血硬派、俗物の三拍子で知られるこの俺に出前の臨時バイトを押し付けやがった。
断る。
その一言で済ませればいい話だったんだが…そこはその…なんだ
おやっさんの押しの強さと…何故かキラッキラしている看板娘の雰囲気に飲まれ
こうしてHONBAスーパーカボ マルトク出前機搭載仕様を駆る羽目になったのだった。
とりあえず…ウイリーしないように気を付ける。
今俺に出来る心構えはそれだけだ。
…?
……薄野、今の人、新しいアルバイト?
あと、掻き揚げ蕎麦ひとつ。